ブンドドを前提としたオモチャの話

ブンドドを前提としたオモチャ談義やオモチャレビューです。アメトイが好き。

ブンドド動画を撮ってみよう

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動画は決して公開するな

ブンドドは、その記録と不可分です。

せっかく壮大な物語がくりひろげられても、なんらかの形でそれを残す作業を行わなければ、それらはあっという間に失われていきます。毎日少しずつストーリーを進捗させられているなら、忘却の手に捕まらずに済むかもしれませんが、忙しい社会人にとっては週に一度、数時間ていどオモチャを触る時間を取れればマシなほうです。それに、スペースも限られているから遊びかけのオモチャを出しっぱなしにしておくことも難しい。となると、一週間後には「ええと……どこからだったっけ」ということになりかねません。

こういった事態を防ぐため、ブンドド民は、それぞれにじぶんのブンドドを記録する手法を持っています。

大きく分けて、記録方法は以下の通り。

  • ノートに設定メモやストーリーを書き残す
  • ブンドド写真を撮る
  • ブンドド動画を撮る

一般的に、下にいくほど難易度は上がっていきます。しかし、スマホやパソコンが流通した現代においては、動画を撮るという手法も、さほどハードルの高い選択肢ではなくなりつつあるのです。

 

ブンドドは一般的に、台詞とアクションから成り立っています。音声とビジュアルから成る映画の構成要素と、同じなのです。であるなら、動画で記録を残すことで、ブンドドは最中の空気感をも閉じ込めた形で、記録に留めておけると言えるでしょう。

うまく手を加えてやることができれば、単なる記録を超えて、まるで映画のような見応えある動画に仕上げることが可能となるかもしれません。

 

しかし、です。

ここでひとつ、口を酸っぱくして強調しておかねばならない注意事項があります。

 

動画は、決して他人に見られてはなりません

 

ブンドドというのは、個人的なものです。

まだまだ趣味として理解されているとは言いがたく、他人の目を楽しませるようなものであるとは、とうてい言えません。ありていに言って、オモチャ遊びなのです。それは当事者であるじぶんを愉しませることだけを目的とした、自己満足と自己完結の代物です。

凝った編集によって、あなたはそのブンドド動画に自信を持っていることでしょう。しかし、それは映画っぽさを持っていたとしても、「映画そのもの」ではありません。見せられた他人からしたら、憫笑や共感性羞恥を煽る劇物でこそあれ、賞賛の対象にはなりえないのです。あなたがうっすらと思い描いているような肯定的な反応は、ひとつも返ってこないと思ってください。反応が返ってくるとしたら、否定的な内容が99%を占めます。

「大人のくせに、恥ずかしくないの?」

「いい年してオモチャ遊びとかwww」

「痛い痛い痛い勘弁してくれ」

こういった反応を受けて、あなたはなおブンドドを続けることができるでしょうか。

 

そもそも、趣味は他人の評価を求めた時点で、濁ります。承認欲求という魔物に取り憑かれてしまった瞬間、これまでの純粋な愉しみにはおさらばしなければならなくなり、いつしか、「自分はなんのためにこんなことをしていたのだろう」という決定的な破局が訪れます。

熱意は、内に秘めれば秘めるほどに凝縮され、輝きを増します。自己満足と自己完結でよしとしなくてはなりません。

 

YouTubeに投稿したいという欲望は、ぐっとこらえましょう。

もし動画サイトにアップロードしたいのであれば、必ず、じぶんしか見られないように非公開設定としてください。

 

 

オススメの撮影環境

さて。

決して動画を公開しないという誓いを結んだあなたは、いつも通りにオモチャを並べます。この後、いったいどうしたらいいでしょうか?

 

一眼レフや動画編集ソフトについて調べはじめたのなら、ちょっとその手を止めてください。よくよく思い出してみましょう。あなたがこれから作ろうとしている動画は、あなたにしか見られないものなのです。リッチな映像も、凝った編集技術も、まったく必要ありません。

お金と時間を割くのは、やめましょう。

 

高級カメラなんて、必要ありません。

あなたが手にするのはスマホでじゅうぶん。標準のカメラアプリを起動して、「ビデオ」を選択し、撮影を開始する。撮り終わったら、編集も無料のスマホアプリでやりましょう。なに、右下やら右上に製品ロゴが入ったままでも、かまうものですか。

とにかく、めんどくさくならないようにする、というのを第一優先事項にしましょう。

 

編集アプリはぼくの場合、これを使ってます。

InShot - 動画編集&動画作成&動画加工

InShot - 動画編集&動画作成&動画加工

  • InstaShot Inc.
  • 写真/ビデオ
  • 無料

apps.apple.com

play.google.com

 

まあこの辺は好き好きなので、適当に使い勝手がいいやつを探してみてもいいんじゃないでしょうか。

パソコンでの編集に切り替えたほうが作業しやすいのかもしれないですが、ぼくにとっては「動画素材をパソコンに移動させる」という作業さえもがハードルなので、スマホで完結させてしまいます。

後述するような最低限の編集をする分には、とくに不便は感じません。ひまな時間に寝転んで編集できるほうが、ぼくにとってはメリットです。

それに、スマホだけで完結していれば、動画を見返すのも気楽ですからね。

 

ただ、ひとつ便利だった機材をご紹介しておきます。

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www.amazon.co.jp

 

まあこれじゃなくてもいいんですがスマホアームってやつですね。

ハンドリング・ブンドドは通常、両手をフルに活用しなければなりませんが、撮影のためにスマホを構えていると、片手が使えなくなってしまい、通常のブンドドに差し障るんですよね。

動画撮影はブンドドに従属するものでなければなりません。

こういったアームを使うことで、通常時と同じようにあなたはブンドドを愉しみ、かつ動画にも残すことが可能となります。

 

ただし、これは「あえて挙げるなら」という機材に過ぎませんので、買わないで済むなら買わないで済ませましょう。撮影環境を整える……という新たな沼に足を突っ込んでしまうと、今度はブンドド自体がおろそかになる可能性がありますので。

 

メリット1 ストーリーが前に進む

さて、ここからはブンドド動画を作ることによるメリットをご紹介していきたいと思います。

まず意外にも重要なのは、動画を撮りながら遊ぶことで「ストーリーが前に進みやすくなる」という点です。

 

ひとりでブンドドをしていると、物語の進行が停滞するという現象がわりと頻発します。

例えば基地玩具にフィギュアを配置し、「敵襲に慌てふためく隊員たち」というような状況を作り出したとします。いい感じに並べることができた後、いざ敵オモチャを襲いかからせようとするのですが……これが、ためらわれるのです。

せっかく並べたフィギュアたちが乱雑に倒れるのが、なんだかもったいない気がする。よくよく見れば、一個の情景ジオラマとしてよくできているじゃないか。せっかくだからこれを写真に収めてTwitterにアップして……という具合に、ほんらいの「遊び」を見失ってしまうのです。

しかし思い出してみましょう。

子供は積み木を重ねて作った家を、容赦なく怪獣ソフビでなぎ倒しているでしょう? あなたに必要なのは、あの思い切りなのです。

 

ブンドドはストーリーです。

ストーリーとは時間の経過であり、変化です。

ひとつの静止した状況を愉しむのも悪くはありませんが、そこに破壊をもたらし、次々と変化していく状況を生み出していくダイナミズムこそ、あなたがブンドドに見いだした愉しみだったはずです。変化をもたらすことを、恐れてはなりません。思い切るのです。

 

動画を撮ってやることで、こうした思い切りを得ることができます。カメラという観客が、変化を期待してあなたのブンドド世界を見つめているのです。その期待に、応えなければならない。「いま動画を撮っている」という意識が、あなたの静止欲求を「動かさなければ」という義務感で上塗りしていきます

あなたは緻密に並べたフィギュアたちを、敵の怪獣でなぎ倒す。恐怖の声をあげる隊員たち。そこに、整備が完了した決戦兵器であるロボットが現われ、怪獣と取っ組み合いを始める……。

こうして、静止した画面に変化がもたらされ、写真は動画へと変わっていくのです。

 

カメラを回しているだけで、こうした前進がもたらされます。

 

メリット2 設定を覚えておける

ブンドドにおいては、とっさに口走った台詞やとっさに取らせた行動によって、設定が次々に塗り替えられていきます。即興劇にも似たリアルタイム性こそ、ブンドドの魅力です。

 

たとえば、あるキャラクターが、敵の攻撃に晒されています。死に至る可能性もある一撃を、もはや避けることはできません。その瞬間、傍らに立っていた敵幹部のひとりが、その攻撃を弾きます。

「なぜだ……! なぜ俺を庇うような真似を……!」

「当たり前だ。どこの世界に、みすみすを死なせる兄がいる?」

「まさか! おまえが、俺のだったのか!?」

まさか!と叫んでいるのは、キャラクターだけではありません。

そのブンドドを遊んでいるあなたも同様です。こんな設定を決めた覚えはなかったのに、まったく知らなかった真実が明かされるのです。

こういった驚きの展開が、ブンドドを繰り広げている中では次々に生まれていきます。小説家や漫画家が、「キャラが勝手に動き出した」とよく言いますが、これとよく似た奇跡が、ブンドドにおいても起きるのですね。よく練り込まれたキャラクターは、自ら行動や設定を導き出してくれるものです。

 

ただし、こうした設定は次々と忘れ去られていきます。こういうリアルタイムで生まれてきた設定は、せっかくですからキープしておいて、今後の遊びの中でも活用していきたいですね。

そこで、動画を残しておくことが役立ちます。

 

設定が明らかになった瞬間だけを残すのではなく、オモチャ同士のなにげない会話なども残しておくようにしましょう。

これらは、「コイツとコイツは絡んだことがあったはずだったけど、どんな関係だったんだっけ……?」という忘却を防ぐ手段です。また、以前の会話を踏まえた上で会話をさせてやれば、彼らの実在感はより強まります。

それ以外にも、かつてなにげない会話のなかで交わした言葉を、最終決戦などのクライマックス的状況においてリフレインさせてやると、熱い展開を演出しやすくなります。

(例)

バドワイザー? あんなもんビールじゃねえ、薄めた泥水だろうが」

「さすがイギリス野郎。味ってもんが分かってねえ」

 ↓

「生きて帰って、てめえにしこたまおごらせてやるからな!」

「ああ構わねえさ! バドワイザーでよけりゃあな!」

 

メリット3 ノートほど面倒くさくない

ブンドドの歴史上において、多くの時代を通じて愛されてきたのが、ノートに設定やストーリーをメモするという手法です。お金も準備の手間もかからないことから、このスタイルを長年続けているというブンドド民も多いことでしょう。

 

しかし、実のところ、ノートに書くという作業はめんどうくさいのです。

 

ブンドドを終えてから、ストーリーの進行で覚えておきたい部分や新しく定まった設定や台詞などをメモしようとすると、その分、遊び自体の時間が圧迫されることになります。また、ノートにメモをとるという形でブンドドを管理すると、楽しむための遊びの時間が、どこか仕事じみてくることも避けられません。まるで業務日誌をつけているかのような気分になってしまいます。そうなると、ノートは長続きしません。

ブンドドをしながらリアルタイムでメモをとっていこうとするのも、また現実的とは言えないでしょう。その分机のスペースを取らなくてはいけなくなりますし、都度都度遊びの手を止めてメモをとっていれば、テンポが悪くなることこの上ない。

 

逆のパターンもありえます。

熱中しはじめると、オモチャそっちのけでノートに設定やストーリー案の羅列をすることに時間を費やしはじめてしまいます。たしかにこれはこれで楽しいものですが、もはやブンドドとは呼べない領域に足を踏み込み始めています。

あなたが夢中でノートに設定を書き殴っている間、放っておかれるオモチャたちには、だんだんと埃が積もりはじめていることを、お忘れなきよう。

 

動画であれば、本質は常に「遊んでいるオモチャそのもの」にあるのだという事実を見失わずに済むでしょう。

 

 

さて、ここまではブンドド動画を撮ることのメリットについて考えてみました。

ここからは、ブンドド動画を撮る上でのコツについて、語っていきたいと思います。

 

 

コツ1 編集に凝るのは控えよう

ブンドド動画は、それ自体が作品ではありません。あなたの作品は、あなたの脳内で繰り広げられている妄想の嵐そのものです。そのため、ブンドド動画を作る上では、めんどうくさいことを徹底的に避ける、というのがひとつ重要な指標になります。

動画編集というのも、ひとつの深い沼です。

編集ソフトの機能は豊富に設けられており、あなたはそれを知るほどに、「こんなこともできるんだ」「こんな演出もやってみよう」などと、ソフトいじりに時間と労力を傾けはじめてしまうでしょう。

 

もちろん、それが苦にならない性格なのであれば、いくらでも凝っていただいていいかと思います。しかし、「基本的には自分しか観ない」「いくらいじっても本職の動画コンテンツには匹敵しえない」という事実を思い出しましょう。

また、労力をかけるのが当たり前になってしまうと、一つ一つのブンドド動画を完成させるまでに、異様に時間が掛かるようになってしまいます。プラモデルの1キットに、数ヶ月もの時間を掛けずにいられないモデラーと、同じ落とし穴に踏み入ってしまいます。消化できない積みプラに悩み、積み上がった作りかけのキットから目を背けるように暮らすという辛さは、玩具マニアなら想像がつくのではないでしょうか。

それと同じように、作りかけの動画素材が積み上がったまま、身動きが取れなくなってしまうのは、本末転倒というものです。

 

動画は、基本的に手をかけず、てきとうに仕上げましょう。

テンポを悪くしている「何もしていない時間」の映像をカットして繋ぐだけでも、じゅうぶんなものに仕上がります。もしそれ以上の労力を掛けたくなったとしたら、後述するコツ2とコツ3を実施するていどに留めましょう。

 

また、基本的にブンドド動画は5分前後に収めましょう。

経験上、それ以上になると単純カットだけであっても労力が馬鹿になりませんし、後で見返す頻度も激減します。1シーンで1動画、という感覚で撮ってください。シーンが変わったら一度カメラを止めて、別の動画として撮り始めるつもりで。

 

あなたは、時間があればなるべくオモチャをいじっていたいはずです。その初心を忘れてはなりません。

 

 

コツ2 BGMを付けよう

最小限の労力で、後から見返したときに楽しい動画を作るなら、まずBGMを付けてみましょう。戦闘シーンなら激しい戦闘曲を、しっとりとしたシーンなら悲しげなピアノソロを、愉快なシーンならアップテンポなポップ曲を、劇伴として付けてあげることで、ブンドド動画はより雰囲気を増します

「今回のシーンにはどういう音楽が合うかな?」と選ぶぐらいであれば、労力というよりも楽しみの方が勝りますので、オススメです。

5分程度の動画であれば、基本的に1~2曲。1シーン1動画の原則を守っているなら、ほとんどの場合は1曲で事足りるはずです。

 

ちなみに個人視聴だけを目的とするのであれば、ゲームや映画のサントラから曲を引っぱってくるのもアリでしょうが、YouTubeオーディオライブラリにも、著作権をクリアした良曲がたくさん見いだせます。これを試聴しまくって数十曲好みの曲をあらかじめ選んでおくと、あとで楽になります。

support.google.com

 

コツ3 台詞は字幕に置き換えよう

最初に言っておきますと、このコツについてはかなり労力を必要としますので、やるかやらないかの判断はお任せいたします。

ブンドドの中では台詞を言いますね。

ぼくはどちらかというと、「台詞は頭の中で、効果音は口で再現」というスタイルなのですが、人によっては台詞を口に出すほうが好みという方もいらっしゃるでしょう。しかし、これが鬼門なのです。

 

ご自分の声を、録音して聴いたことはありますか?

耐えられないほど気色悪いですよね?

これはけっこう万人に発生する現象らしいのですが、自分の声というのは頭の中で反響している音と口から出ている音を混交して聴いているために、他人に聞こえている声とはまったく違うものになっているそうです。で、録音した声は他人が聞いている声に近くなるわけですが、これが自分の思っている「自分の声」とズレるために、異様な気色悪さを感じてしまうそうなのです。

 

理屈では分かっていても、録音した自分の声というのは長時間聞くに耐えないのも事実。

ここが最大のネックとなって、ブンドド動画を挫折する人も少なくないほどです。

 

そこで、このコツ3。

自分が喋った台詞の音声を消して、映画のように字幕を入れてしまいましょう

こうすることで、気色悪さはなくなりますし、うまく言えなかった台詞を後で修正することもできるようになります。異性キャラの台詞などは後から聞くのにはキツいものになっていることが多いので、このコツは特に役立ちます。

 

またせっかくなので、上下に黒帯を入れて疑似シネスコサイズにしてやれば、字幕と相まって、まるで洋画のような雰囲気の動画に仕上げることも可能です。

自己満足度が高くなる遊びなので、一度試してみてもいいかもしれません。

 

 

動画は決して公開するな

さて、ここまでブンドド動画について長々と語ってきましたが、再度強調しておきます。

 

ブンドド動画は、決して他人に見せてはいけません

 

これだけを肝に銘じることができたなら、あなたも今日からブンドド動画を作りはじめることができます。

スマホに蓄積した動画のサムネイル群を眺めるのは、ちょっとした至福ですよ。