ソフビはすばらしい、という話
さいきんはソフビを買う機会が増えました。
ぼくの買うソフビは、とくにこだわりがありません。
デザインが気に入りさえすれば、個人制作のインディーズソフビだろうと、現行のウルトラ怪獣シリーズだろうと、ゆるい造形の古めかしい怪獣ソフビだろうと、構わず買い集めます。
この方針についてはぼくの玩具購入全般に共通するものなのですが、さいきんは、満足度という点でソフビに勝るものはそうそうないぞ、という結論にたどり着くようになってきました。
ソフビは安い
まず、安い。
インディーズのソフビはとうぜん例外となりますが、ウルトラ怪獣シリーズや古いソフビといったジャンルであれば、数百円~二千円ぐらいの範疇で買えることがほとんどです。
すでに五千円~一万円が標準的な価格帯になりつつあるアクションフィギュアなどと比べると、だいぶ財布にやさしい。
またインディーズソフビにおいても、個人製作の少量生産ということを考えれば、あのていどの価格帯で購入できるというのは破格といってもいい。
アートトイのジャンルのなかでは、「まだしも手が届く」といった点でも、すばらしいことです。
原油の価格高騰といった昨今の事情もありますので、いつまでも続けられる文化ではないのかもしれませんが……。
ソフビは触りやすい
次に、触りやすい。
アクションフィギュアはとうぜんですが、可動域が多い。
それに関節の硬い・柔らかいが個体によって異なります。
飾っているものをうかつに触ると、しっかり自立させるまでに細かな調整が必要となります。
こうなると、棚に飾ってあるものをちょっと手に取る……ということのハードルがぐんと高くなってしまうのです。
遊ぶために買ったオモチャなのに、遊ぶ頻度が下がってしまう……。
これは正直言って、健全な事態とは言いかねます。
それにくらべて、ソフビです。
おおむね、可動部が少ないおかげで自立には困りません。
ウルトラマンのように華奢な人型であれば、それでもゆがみによって立たせるのは難儀してしまいますが、怪獣なら尻尾があるおかげで三点保持ができますし、クリーチャー類なら大きめに作られた足がしっかりと保持してくれるものが多い。
とくに、さいきんの個人製作ソフビは、ソフビとして遊びやすいようにキャラクターデザインを行っていますから、立たせやすいようにうまくつくってくれています。
足を短めに、重心はなるべく下のほうに、接地面積はできるだけ広く……。
こうした配慮の行き届いたソフビは、じつに気軽に手に取ることができます。
ソフビは遊びやすい
つぎに、遊びやすさ。
じつを言うと、可動部の多さは必ずしも遊びやすさを意味しません。
ポーズを取らせて飾ったり写真を撮るのであれば、もちろん可動部は人間と同レベルで存在するほうが望ましいでしょうが、ぼくの主要目的はブンドドです。
手に持って、台詞を喋らせたり、戦わせたりして遊ぶ。
この場面においては、さほどの可動部は必要ではありません。
想像力が働いているのですから、肘や膝が動かないからといって、さほど困らないのです。
頭の中で激しいアクションを繰り広げさえしていれば、じゅうぶんなのですから。
それよりも、立たせやすいことが、遊びの場面においてもメリットとして作用します。
先日の記事でも語った通り、ブンドドの楽しみの大部分を占めるのは、並べることです。
たくさんのオモチャを並べているうちにストーリーが見いだせ、ブンドドは進みます。
ということは、並べやすい≓立たせやすい、というメリットは、ブンドドにおいてきわめて重要であるということができるのです。
また、手に取ったあとにすばやく机に置き直すさいにも、すぐに立たせられるというのは重要です。
違うオモチャを手に取ってストーリーを進めたいのに、机に転がってしまったオモチャを立たせ直さなくてはならない……。
こうなってしまうと、せっかく構築されていた想像力の世界は寸断を余儀なくされます。
その点ソフビであれば、さっと置くだけできっちり自立してくれますから、じつに頼もしい。
ソフビは壊れにくい
よく言われていることですが、ソフビというオモチャの魅力はなんといっても壊れにくさです。
もともとが、子供が手に持ってぶつけ合うという遊びかたを想定したオモチャですからね。
ちょっとやそっとの衝撃では破損しないというのは、コレクションとしても安心感があります。
長年オモチャ箱の中に放り込んでいても、さほど問題なく遊ぶことができます。
関節が緩くなったり、もげやすくなったりするアクションフィギュアよりも、経年に耐えやすいというのは魅力です。
というわけで
さいきんはソフビばかり買いあさっているという報告でした。
また、コレクション紹介なども進めていきたいと思います。
サンスカー( SANSKAR / McFarlane Toys SPAWN 6)
マクファーレントイズより SPAWN6 サンスカーです。
蛇が巨大なクリーチャーと化したようなデザイン。
グロテスクになりすぎないデフォルメ具合と、肌の質感による実在感のバランスがすばらしいオモチャです。
どちらかというと、ファンタジーと親和性が高いデザインですかね。
スポーンは長く続いたフィギュアシリーズですが、どちらかというと初期のオモチャらしさを残したデザインがぼくは好みです。後半はグロテスクの方に比重が偏りすぎていて、ブンドドに組み込むにはちょっと厳しい。
スポーンは一年ぐらいまえには投げ売りに近い価格設定だったのですが、最近はまたコンテンツとして再燃しつつあるらしく、徐々に値上がってる印象がありますね。
後ろ姿。
マッシブな筋肉の付き方に、人間の名残りがあるようでいい感じです。人間をベースとした化け物、という設定にしてやると、うまくハマるかもしれません。
主な可動は肩・首・腰・手首の4カ所。
少ないようですが、これぐらいのボリュームあるフィギュアですし、角度も絶妙なのでブンドドにはもってこいです。
こういうクリーチャーは、可動よりも勢いで遊ぶものですよね。
顔のアップ。
口は開閉可動します。これだけでも表情がだいぶ変わりますし、個人的には肘や膝の可動よりも注目したいポイントです。
手には水かきのようなものが。
水棲なのでしょうか。洞窟湖の水面から突然現われたりすると、インパクトのある登場になるのでは。
尻尾はペンダブルで動きます。
といっても、多少の表情付けぐらいに使えるていどですね。ブンドドの場面では、あまり活用できていません。
いつものごとく、大きさ比べ。
(キャプテン・アメリカ=16cm、ウルトラマン=13cm、ボバ・フェット=9.5cm)
6インチスケールとも絡ませるサイズ感ではありますが、やはりこういった異形のクリーチャーはでかくなければなりません。
ここは4インチスケールで遊ぶのがいいでしょう。
4インチフィギュアぐらいなら、手のひらで持ち上げられます。
(ただし、重量のバランスが悪いのでこうなると自立しにくいですが……)
ブンドド設定は下記の通り。
言うまでもないですがぼくの妄想です。
サンスカー(ダンジョンのクリーチャー)
- ダンジョンの奥深く、広大な洞窟湖に棲みつくクリーチャー。
- 湖畔の人間に、音もなく泳いで近づき、突如襲いかかる。
- 人語を解するが、人肉を嗜食する上、苦しんだ人間の肉は美味くなると誤解しているため、まともな意思の疎通はほぼ不可能。
- 湖の底には彼がいままで食い荒らした人間の骨が数多く沈殿している。数年の絶食に耐えるが、人間が近づかない間はその骨をしゃぶり噛み砕いて髄液を啜っている。
- 元は人間。ダンジョンを作った魔術師に逆らった為に、魔術でクリーチャーの姿にされた。彼が水底で守る宝箱の中には、人間であった頃の思い出の品が詰まっている。
スポーンシリーズも、ブンドドにおいては情報量豊富な敵キャラの宝庫です。
これからもどんどん紹介していきますので、お楽しみに。
ルーク・スカイウォーカー(スターウォーズ ベーシックフィギュア)
スターウォーズベーシックフィギュア「サーガシリーズ」のルーク・スカイウォーカーです。
というかこれルークだったんですね。
ルーズ品で手に入れたのですが、てっきりレイアだとばかり思ってました。顔立ちが妙にやさしくて女性的なんですよね。
サイズは、ベーシックフィギュアの一般的なサイズである3.75インチ。
(キャプテン・アメリカ=16cm、ウルトラマン=13cm、ボバ・フェット=9.5cm)
ポンチョは布製です。
布地や毛を使ったフィギュアというのは、保管が難しいのであまり好みではないのですが、これはもともと薄汚れたデザインになっているため、あまり状態が気にならないのはメリットです。
ポンチョの下は、見慣れたルークの衣装ですね。
この柔道着みたいな服が隠されているからこそ、オリジナルの味付けがしやすくなっている印象です。
手もちゃんと上がります。
後ろ姿がさびしげでいい感じ。
ブンドド設定は下記の通り。
単なるぼくの妄想です。
ルーク(放浪者)
- 寡黙な放浪者。大陸全土を巡り、目的なく旅をしていた。
- 危険地帯でも軽装で平然と踏み入る。
- 組織に出会い、斥候としてスカウトを受ける。単独行動を条件として協力しはじめる。組織は彼のような放浪者を多く雇っているが、その中でも五指に入るという腕利き。重要任務を任されることが多い。
- 途中で出会ったゴルゴンだけは付いてくることを許している。
- ゴルゴンも、彼にしか心を許していない。
- 実は高貴な血を持つ上層階級の出らしいが、本人は過去については黙して語らない。
↑この値段は高い気がしますね……。
ちなみに、このぐらいの時期のベーシックフィギュアには、けっこう掘り出し物があります。いま4インチサイズ(スターウォーズの場合正確には3.75インチ)というのは全世界的に主流を外れたらしく、新作シリーズを探そうとするとけっこう難航する反面、中古市場にはたくさん出回っています。未開封品で、下手をすると200〜300円と、ガチャポン以下の価格にまで落ちているのです。数を揃えるにはうってつけですね。
さらに、スターウォーズのベーシックフィギュアはマニアックなキャラクターでも次々に商品化を図ってきた歴史がありますから、ちょっと掘るだけで、オリジナル展開に向くオモチャがたくさん出てくるのですよね。
これからも、続々そういうオモチャを紹介していきますので、ご期待ください。
ディノゴルゴン(シュライヒ/Schleich)
シュライヒの恐竜フィギュア、ディノゴルゴンです。
シュライヒは「よく見知った恐竜」ではなく、「あまり見たことがない/恐竜らしく見えない」ものをチョイスすることで、さまざまな世界観にハマるオモチャを手に入れることができます。
このディノゴルゴンも典型ですね。恐竜ともサーベルタイガーとも言いがたいような独特の雰囲気を持っています。
シュライヒの恐竜フィギュアということで、可動はありませんが、それゆえに非常に遊びやすいオモチャに仕上がっています。メイン攻撃はおそらく噛みつきか引っ掻きになるようなクリーチャーですので、口を開けた姿勢でいてくれればじゅうぶんです。
右を向いて。
左を向いて。
前から。
大きさを比べると、こんな感じ。
(キャプテンアメリカが16cm、ウルトラマンが13cm、ボバ・フェットが9.5cmぐらいです)
これで見ると、おおむね4インチスケールと相性がよさそうですね。
6インチスケールと合わせると、犬ぐらいの感覚になってしまいます。
クリーチャーとして扱うのももちろんいいですが、どことなく間の抜けた愛嬌のある顔立ちと、恐竜よりも犬のようなたたずまいから、人と絡めたくなってしまうのですね。
彼のように、放浪者らしいフィギュアになつかせてやるといい感じです。
いちおう乗ることもできますが、ちょっと無理矢理感が出ますね。
乗馬扱いするのであれば、もうひとまわり大きい方がよさそうです。
最後にブンドド設定のご紹介。
あくまでぼくがこういう設定で遊ぶ、というだけの覚え書きです。皆様も妄想はご自由にどうぞ。
「ゴルゴン」(ディノゴルゴン)
- 核戦争後に発見された生物。
- 独特の進化を遂げており、集団で狩りを行う。
- この個体は、はぐれたところを放浪者に救われて主従関係を結んだ、珍しい例。
- 「ゴルゴン」と名付けられた。
- 主人になつく様は、かつての犬を彷彿させる。犬がほぼ絶滅を遂げた現代にあって、貴重な狩りのパートナーたりうる存在。
- 強力な牙で獲物の喉を裂くか、腹部に食らいついて臓器を傷つける攻撃が主。
- はらわたを好んで食べ、肉は主人が食べるという役割分担ができる。
- 大型犬ていどの知能はあるようで、人間は襲ってはならないと主人の教えにより理解している。
ちなみに2021年10月1日現在、Amazonでめちゃくちゃ安くなっています。
もう何体か仕入れておくのも手かも。
ブンドドにオススメの世界観設定5選
ブンドドにおける世界観は重要
オリジナルストーリー派のブンドド民において、どんな世界設定で遊ぶかというのはかなり重要な問題です。
ブンドドも始めたての頃は短篇ストーリーで満足しているものですが、我々は常に壮大なストーリーを描こうと試みてしまいます。まとめることなどとうてい不可能なレベルまで風呂敷を広げ、幾度もの世界の危機を繰り返し、人類存亡を賭けて戦う羽目に陥ります。
それもとうぜんです――なにせ、まとめる必要はないのですから! じぶんで物語を完結させる責務のある創作とは異なり、ブンドドは自由です。どこから始めてもいいし、どこで終わってもいい。途中がどれだけ抜けていたって構わない。極端なことを言えば、仲間たちの出会いの場面を描いた後に、すぐ最終決戦を遊んだっていいのです。これが、じぶんしか受け手がいない物語のすばらしいところですね。
加えて、オモチャ趣味というのは留まるところを知りません。フィギュアはフィギュアを呼ぶという名言がありますが、そのとおり。オモチャは延々と増えつづけてゆきます。この無数のオモチャたちそれぞれに、ブンドドの中で役割を与えてやりたい、と思うのが人情というもの。こうして登場人物の増加にともない、物語は肥大化をしてゆくのです。
さあて、思案のしどころです。
このオモチャたちを活かすには、いったいどんな世界設定を与えてやればいいか? どういう世界なら、彼らの多様性を受け止め、かつ活躍の場を与えてやれるのか?
もちろん、いまブンドドストーリーが膨らんでいる最中であれば、改めて世界観などを考え直す必要はないでしょう。しかし、どうにも妄想が行き詰まってしまうという場合もありますし、いまいち盛り上がりに欠けるなあとマンネリに苦しむこともあるはず。
世界観を一新してみたいという欲望が湧いたなら、ぜひ下記の設定を参考にしてみてください。いずれもぼく自身がよく遊び、よく楽しんだ設定です。現代日本でエンターテインメント系のコンテンツによく触れている人であれば、どの設定でも妄想の翼は広がることでしょう。
コツとしては、なるべく「勝手にストーリーが動く」設定を選ぶこと。妄想はひねり出そうとしても出るものではありません。これまでに触れてきたコンテンツたちが、オモチャという触媒に反応して妄想というかたちで吹き上がってゆく。こういう体験こそが、ブンドドの醍醐味です。
ただ、世界観だけではうまくストーリーが回りにくそうだという方のために、ストーリー展開に迷ったらどんなイベントを起こすか、というヒントも書いておきます。また、ぼくのイメージソースとなった作品も紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
では、始めましょう。
設定1:正義と悪の組織が対立
およそブンドドと呼ばれる遊びの中で、もっともオーソドックスと思われる設定が、これです。ブンドドを始めたころに遊んでいたのも、こうした設定ではなかったでしょうか。
基本的には正義と悪が衝突する、というだけのストーリーラインとなります。極めてシンプルです。シンプルゆえに、強力な設定と言えるでしょう。
ヴィランがなにか悪行を成します。その陰謀を打ち砕くためヒーローが出てくる。あとは両者が衝突する。基本的な戦いの流れはこういった形です。
勧善懲悪の意味を哲学的に思い悩むのは、やめましょう。とにかく正義は正義、悪は悪。特撮ヒーローもの、特にスーパー戦隊的なものを思い浮かべつつ、思い切り童心に返って遊ぶのです。
ただし、特撮作品と異なる点がひとつあります。
それは、ヒーロー過多になりがちであるということ。創作の中では、ストーリーを盛り上げる必要もありますから、正義側は少数精鋭、悪の側は人海戦術と相場が決まっています。この人数バランスは、ブンドドでは保ちにくい。どうしても、ヒーロー系のオモチャのほうが手に入りやすいからです。
そこで、思い切ってヒーローの側も組織にしてやるのがコツです。さまざまなヒーローたちが所属するチームや組織などを構想し、それと敵対させるように悪の組織を配置する。
なるべく人数比率が「1:1」に近づくように心がけましょう。
また、ヒーローとヴィランに明確な実力差を設けないようにすることです。強く設定するならば、ヴィランの方の戦闘能力を高くしてやる。こうすることで、ヒーローの側が頭を使って各個撃破するなどの対応を求められ、ドラマが盛り上がります。
また、打ち倒した敵を基本的に死なせない、というのも重要なコツです。死亡させてしまえば、同じオモチャを再登場させるのが難しくなってしまうからです。ここはバットマンシステムを採用しましょう。倒されたヴィランは殺されるのではなく投獄される。しかし、そこから脱獄が起きてヴィランが再びヒーローの前にたちはたがる……とこうしてやればいいのです。
ストーリー展開に迷ったら?
総力戦に持ち込んでみましょう。
ふだんは各地に散らばって戦っていたヒーローとヴィラン。しかしヴィランが集結し、ヒーローたちの本拠地である基地への一斉攻撃が掛けられる――。多くのヒーローとヴィランが入り乱れる戦場で、数々のドラマが起こることでしょう。
またその大戦が起きたことによる余波などをその後のストーリーに組み込めば、より物語の立体感が増します。「アベンジャーズ」シリーズにおいて、「エイジ・オブ・ウルトロン」の際の戦いがどれほどの余波を生んだかを参考にしてみてはいかがでしょうか。
・オススメ作品:「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」
設定2:放浪もの
典型的なRPGのようなスタイルの物語です。
主人公たちは何人かで旅をしており、そのゆく先々でトラブルに遭遇し、これらを解決していきます。人びとの居住地に迫る敵を打ち倒したり、生贄の儀式に捧げられそうな少女を助けたり、隣村同士の紛争を解決したり、宝の眠るダンジョンを攻略したり……などなど、ミッションのネタは尽きません。
これらのミッションを見ても分かるように、ファンタジー的な設定と相性がいいですね。ただ、ファンタジーに限ったストーリーラインでもありません。
時代劇にすれば「座頭市」に、西部劇にすれば「荒野の用心棒」に、SFにすれば「マンダロリアン」にできるでしょう。
このようにベースとなる世界設定を組み替えることでも、妄想の幅は拡張できます。
この設定を使うのにオススメなのは、「主人公とそのチームが明確に決まっている」という場合です。ひとりのオモチャに自己投影するタイプのブンドド民には、うってつけでしょう。とにかく気に入ったオモチャが1つあって、これを中心に据えたブンドドをやりたいという方にも向くと思います。
旅をつづけているうちに、仲間が増えていくのも放浪ものの楽しい点です。
パーティメンバーはみんな仲良しこよしなのではなく、相性が合わなかったり互いにライバル視しているような関係のキャラクターを設定してみても、妄想は盛り上がります。
仲間の人数はいくら増やしてもいいですが、だいたい6人を超えた辺りから、全員を活躍させにくくなってくるようです。これ以上の人数になった場合には、パーティ離散イベントやサブパーティ立ち上げなどを検討してみましょう。「一方、その頃……」と、主人公と行動を別にするキャラクターの活躍に焦点を当てるのも、楽しいものです。
ストーリー展開に迷ったら?
魔王を出してみましょう。
魔王という名称である必要はありませんが、要するに、大筋のゴール地点を決めてやるのです。こうすると、やることがなくなりつつあったストーリーが、再び甦ります。強大な敵を打ち倒すためには、なにが必要でしょうか? ブンドドの場合は「伝説の武器を獲得する」という方向ではなく、「実力のあるキャラを仲間にする」といったステップで強化を図るのが鉄板です。ここぞとばかりに、強キャラ設定をしたオモチャを登場させまくりましょう。敵の幹部として出すのもいいですね。裏切り・改心はストーリーの華ですから。
・オススメ作品:「HUNTER×HUNTER」「マンダロリアン」
設定3:天下一武道会
これも、シンプルな設定ですね。
誰がいちばん強いかを決める。そのために戦う。言葉にすればこれだけの話ですが、これが盛り上がるのですよね。一時期少年マンガの定番展開として採用されただけのことはあります。とにかく、人は「誰がいちばん強いのか」というシンプルな問題設定が大好きなんですね。大人になってもブンドドを嗜むような童心を残した人なら、なおのこと。
まずは、16体か32体のオモチャを選出します。なるべく、戦闘スタイルがバラバラになるようなオモチャを選ぶのがコツです。
それからいよいよ、この設定における最大のお楽しみ、「トーナメント表づくり」が始まります。この部分の楽しみが8割を占めているといっても、決して過言ではない。
トーナメント表をつくるときには、わくわくする組み合わせをたくさん作りましょう。戦闘スタイルがまったく噛み合わない2人、あるいはまったく同じタイプの2人。どちらかが圧勝しそうな2人、体の大きさがまるで違う2人、まったく戦いの行方が想像できない2人……などなど。
ありとあらゆる、奇妙な組み合わせを楽しみましょう。
トーナメントは、大番狂わせが起こるほどに盛り上がります。およそ勝ちそうにないほうが、予想だにしなかった勝ち方で勝利を収める。まるで弱そうに見えていたキャラが、実はとんでもなく強かったことが明かされる。
こうした逆転劇を、次々に起こしましょう。
トーナメント表づくりの時点では見えていなかった設定が、意外な勝利のつじつまを合わせようと試行錯誤する中で、いくつも見えてきます。その驚きが、この遊び方の楽しみのひとつです。
ストーリー展開に迷ったら?
意外な因縁を明かしましょう。
因縁の対決こそが、最も感情が盛り上がるポイントです。俺が強いと証明する、というシンプルな動機設定だけで済むのがこの遊びの大きなメリットではあるものの、「それ以外のこと」を試合に持ち込んでくる人間がいたほうが、話は盛り上がります。
- かつての雪辱を晴らしにきた
- 親や兄弟の復讐をしにきた
- 長年のライバル関係だった
- 昔は師匠と弟子の関係だった
などなど、「因縁」の中身はいくらでも出てくるでしょう。こういった因縁の対決は、きっと他の試合よりも面白さを増します。
もし主人公的な立ち位置のオモチャを設定しているなら、因縁はそこに繋げると面白くなってゆきます。
・オススメ作品:「グラップラー刃牙」
設定4:群雄割拠の戦国時代
正義も悪もなく、ただ天下統一を目指して数多の勢力が入り乱れながら戦う。勢力単位での裏切りや協力や決戦が次々に巻き起こり、そのダイナミズムに巻き込まれた個人たちはただ振り回されてゆくばかり……。
こういった設定にロマンを見いだせるなら、あなたは群雄割拠ものに向いています。信長の野望や三国志のように、勢力とそこに所属する武将たちのドラマが焦点です。これらのゲームをプレイしたことがある人なら、おおよその進め方はお分かりでしょう。
まずぜひとも必要になるのは、白地図です。
ここに、勢力図を色分けして書き込んでゆく。
各勢力において設定すべきは、
- 君主
- 軍師
- 宰相
- 武将
- 内政官
といったところでしょうか。
色分けした勢力図に、これらひとまとめしたオモチャを配置してやったところで、遊びは始まります。
各勢力に火種を植え付けてから話を動かしてあげれば、ストーリーは自然と動きはじめます。誰かが誰かを裏切り、誰かの不在に誰かがつけこみ、誰かが誰かの勢力へと身を寄せ……こうした幾重にも重なってゆくドラマを、俯瞰の視点で眺めることに恍惚をいだけるならば、楽しめることでしょう。
この遊びのポイントは、「見えていない数多くの兵たちをいるものとして扱う」ということでしょう。こういったストーリーラインの元では、個別のキャラが衝突する戦闘ではなく、多くの人間が入り乱れる戦争シーンこそ華。となればたいてい雑魚兵士役が足りなくなりますので、そこは妄想力でぐぐっと乗り切りましょう。
下剋上は乱世の華、と申します。
一兵卒が戦場で功を立てて出世を遂げ、やがては将軍、果ては君主へと至る道を上り詰めていくというのも、なかなか心惹かれる展開です。だんだんと部下が増え、人間的に成長を遂げてゆき、戦場で重い役目を任されるようになってゆく……というキャラ設定のオモチャを、ひとつ用意してやりましょう。のちのちの展開で、あなたが予想だにしないほど大きな役割を果たしてくれるかもしれません。
勢力図が塗り替えられていく都度、さいしょに用意した白地図がすこしずつ変わっていくのも楽しいものです。カラーペンで塗りつぶした白地図をじっさいに塗り替えていくのは厳しいですから、あらかじめ用意した何枚もの白地図を、勢力比が変わるたびに交換していきましょう。こうすると、後で勢力図の変化を見ることもできて楽しみは数倍になります。
ストーリー展開に迷ったら?
連合軍を作らせましょう。
「三国志」における反董卓連合軍、あるいは「キングダム」における合従軍など、ひとつの突出した勢力に対して複数の勢力が同盟を組み、おなじ戦場にあらゆる武将が駆けつけるという展開は、気持ちが燃え立つものです。
連合軍側と単独国軍側、どちらに視点を据えるかはお好みで。どちらの戦力を強くしても、面白いですよ。あとは連合軍が一枚岩ではないという設定をしても、なかなか味わい深い展開が見られます。
・オススメ作品:「蒼天航路」「ゲーム・オブ・スローンズ」「キングダム」
設定5:ポストアポカリプスもの
文明崩壊後の世界を舞台としたストーリーは、なぜこれほどまでに心惹かれるものがあるのでしょう。思うに、その魅力には以下のような要素が含まれます。
- サバイバル生活と相性がいい
- 弱肉強食で人間性が浮き彫りになる
- 現代生活の名残りが面白い
- 初期の共同体の在り方が見られる
- 人がすぐ死ぬのでドラマが起きやすい
- 文明生活のありがたみを実感できる
ここに挙げたのはあくまで一例に過ぎませんが、ちょっと考えるだけでもこれぐらいの面白さを秘めているのですから、ポストアポカリプスものブームはまだまだ続きそうです。
さて、こうした文明崩壊後の世界という設定は、ブンドドとも異常に相性がいいのが特徴です。
まず、未来を舞台にしていますから、現代技術以上のロボット・パワードスーツといった兵器が登場させられます。でありながら、文明はすでに失われていますから、これらのロボット類が無尽蔵に登場することにも、制限が加えられます(ロボット兵士が1つしかなくても、世界観的に納得できるのですね)。
またこれらのロボットが野生化していたり、部品を失って仏像のように沈黙していたりしても面白い。マッドマックスの車をロボットに置き換えたような野蛮な連中を出してみるのもいいかと。
また、舞台設定として、土地が汚染されていてもおかしくないですから、食糧の確保という点には困窮しているはず。こうなると、キャラが動く動機が工面しやすい。
それに、文明崩壊後という設定上、人間社会の構造が後戻りしていてもおかしくない。となると、群雄割拠の乱世になっていても、封建主義の中世と化していても、筋が通るのですね。
そのため、設定2や設定4などと組み合わせるかたちでも、ストーリーを組み立てていけるんですよね。
個人的には群雄割拠ものとの組み合わせが好みでした。
イモータン・ジョーのような半ば神格化したリーダー率いるカルト教団vs人種至上主義を掲げたナチス的軍事グループvs主人公の元に集まった善人たちの寄せ集めグループ、という三つ巴戦が楽しかったですね。
なんてったって、ストーリー展開に自由が利くのです。
いまはネット小説などでも中世ファンタジーが中心ですが、数年後にはポストアポカリプスものが席巻していてもなんらおかしくないですね。それぐらい世界設定として強い。
ストーリー展開に迷ったら?
過去文明の遺産を出してみましょう。
核兵器のボタンでもいいですし、イデオンみたいな超強大ロボットでもいいですね。こういうマクガフィンを設定してやると、争奪戦という大筋が導けます。群雄割拠がはかどりますね。
・オススメ作品:「マッドマックス 怒りのデスロード」「Fallout」「ウォーキング・デッド」「スワン・ソング」「ザ・スタンド」
最後に
どの設定を選んでもいいですが、あまりオモチャから離れないようにだけ気をつけましょう。
設定を煮詰めることに集中するあまり、オモチャに触ってないなんてことになっては、本末転倒です。
凝った世界観を用意しなくても、ヒーローとヴィランのフィギュアをぶつけるだけで、立派なブンドドとなります。
ときどき、こういうかたちで原点回帰してみるのも、いいかもしれません。
では。
ブンドドに向くオモチャの選び方
ぼくは「オリジナルキャラクター派」である
一口にブンドドといっても、それが指す言葉は人によって千差万別です。
ぼくは原則としてハンドリング・ブンドドを「ブンドド」と呼ぶことが多いですが、もちろん、1シーンを感じさせるような写真を撮ることを「ブンドド」と呼ぶ人もいれば、オモチャにさまざまなポーズを取らせて楽しむことを「ブンドド」と呼ぶ人もいます。
多様性が尊重されるべき現代ですから、これこそがブンドドなのだという原理主義者的物言いは避けたいものです。
しかし、ブンドドのあり方によって、いくつかのグループに分けることはできるかと思います。
オモチャ同士の戦いから連続もののストーリーを描き出すという、ぼくと似たような遊び方をしている人でも、オモチャの設定をどのように参照していくかという部分については、さまざまな意見が出てきます。
- 完全オリジナルキャラクター化する
- オリジナルキャラクター化するが名前は参照する
- オリジナルキャラクター化するが能力や戦い方・性格は参照する
- 原作キャラクターとして用いるが人間関係は参照しない
- 原作キャラクターとして用いる
オリジナルキャラクターにするか、原作キャラクターとして用いるかという大きな軸の中に、上記の1~5の濃淡があるようなイメージですね。それも、一人のブンドド民が一つの考え方を貫いているとも限らず、オモチャによって「これは原作を参照する」「これは原作を参照しない」という風に使い分けていることがままあります。
この中でいうと、ぼくはおおむね1~3の間でオモチャを取り扱うことが多いですね。どの選択肢にしろ共通しているのは、基本的にオモチャを「オリジナルキャラクターとして取り扱う」という点です。
小さいころ、ブンドドに目覚めたころから、ぼくはオリジナルキャラクター派でした。
当時はお金もありませんでしたから、遊ぶオモチャの主力はガン消しやキーホルダーフィギュアのように、3~4センチていどの小さな非可動フィギュアが中心です。100円で手に入れた彼らのことを、ぼくは完全なオリジナルキャラクターとして扱いました。
中にはガンダムもいましたし、ファイナルファンタジーのキャラもいれば、ロックマンのキャラもいる。おおよそ同じサイズであったとしても、厳密に原作のスケール感を適用すれば、同じ世界観で遊ぶことは困難でした。
そこでぼくは、ガンダムは人工生命体のサイボーグ、ファイナルファンタジーのキャラは人間などと、種族が異なる連中として脳内変換し、遠未来を舞台としてSF戦記のような設定で遊んでおりました。
(ちなみにこの遊びは中学生ごろまでやっていました。だいぶ無邪気な中学生です)
この頃から、ぼくのなかには「ブンドドは、オモチャをオリジナルキャラクター化して遊ぶもの」という大前提が刻まれていったのだと思われます。
時が流れて、大人になりました。
卒業しかけていた玩具趣味に回帰してからも、ぼくにとってオモチャはコレクションアイテムではなく、遊ぶものでありつづけました。4歳のころと、なんら変わりはありません。ただ、経済力だけが異なります。
当時は思い出したように買い与えられるガチャポンや食玩がせいぜいでしたが、今度はみずから主体的にオモチャを選ぶことができます。またネット通販の普及によって、購入できるオモチャの幅は爆発的に増加しました。オモチャは与えられるモノから、みずから選び取っていくモノへと変わっていったのです。
こうなると、じぶんの好みはより明確化・先鋭化を遂げます。
さいしょは「欲しい!欲しい!」という飢餓感を本能の赴くままに満たしていたオモチャ収集ですが、だんだんと方針・制限が固まってきました。こういうオモチャは遊びにくい、こういうオモチャが遊びに組み込みやすい……という個々の感想が蓄積し、取捨選択の基準ができあがってきたのです。
というわけで、今回はぼくのブンドドにおけるオモチャ選びの基準を、ご紹介していきたいと思います。あくまで、原作再現ではなく、オリジナルキャラクター化してのオリジナルストーリーを遊ぶという前提のもとの基準ですので、この条件に当てはまらない方はご容赦ください。
原作を知らないオモチャを選ぶ
のっけから、多くの玩具マニアが目を丸くするような基準だと思います。
世界中にあまた存在するオモチャシリーズのすべてを抑えることなど、一介のコレクターにはとうていできない。そこで、原則として「原作を知らないオモチャは買わない・集めない」という制限を設け、経済事情が破綻しないようコレクションを築いていく。これが、コレクターとしての発想でしょう。
じっさい、名の知れたコレクターは、きわめて狭い範囲にのみコレクションの焦点を当てている人が多いのです。例えば、バットマンマニアのなかでも、バットマンだけに焦点を当ててコレクションを築いていくほうが、深さを追及しやすい。ロビンやジョーカーやベインやDr.フリーズなどはバッサリと切り捨てて、とにかくひたすらバットマンだけを収集していく。こうすれば、すべてとはいかなくても、かなり多くのバットマングッズにアクセスすることができますからね。
そこまでいかなくても、例えばマーベルレジェンドでは「MCUに登場する実写キャラクターだけを買う」「スパイダーマン関連は原作コミックデザインのキャラだけを集める」という風にルールを決めている方は多いのではないでしょうか。
しかし、ぼくのようなオリジナルブンドド民にとっては、真逆なのです。
「なるべく原作を知らないオモチャを買う」。これが、ぼくのとっている原則です。
原作というのは、想像力の起点にもなりえますが、足枷ともなります。ぼくにとって、スパイダーマンのフィギュアはもはやスパイダーマン以外にはなりえません。スパイダーマンを知ってしまっているからです。スパイダーマンのフィギュアを眺めた途端、クモに噛まれて超能力を身につけたピーター・パーカーとか、おじさんが犯罪者に殺されているとか、糸を使ってスイングしながらニューヨークの高層ビル間を跳び回っているとか、親愛なる隣人とか、そういったキーワードが自然と頭の中に甦ってくるのです。そこから離れるのは、もはや難しい。そうなると、さまざまな設定を付け加えようとしても、難しくなります。
もちろん、スパイダーマンならスパイダーマンで、ブンドドに組み込むことはできます。先述の5択でいうなら、「4.原作キャラクターとして用いるが人間関係は参照しない」や、「5.原作キャラクターとして用いる」あたりのルールを適用すればいいのですね。
つまり、スパイダーマンはスパイダーマンとして扱う。しかし、たとえば「今回のヒーローはピーター・パーカーの亡くなった両親の同僚である」などと関係性を捏造するか、「Dr.オクトパスが開いた異空間転送ゲートによりこの世界に送られてきた」などと展開を捏造することで、スパイダーマンがじぶんのブンドド世界に馴染むよう、設定を整えてやるのですね。こうすれば、スパイダーマンを自然とブンドドに合流させる道筋をつけてやれます。
しかし、正直いうと、これはあまり好みの遊び方ではないのですよね。
ぼくにとって、ブンドドでいちばん楽しいのは、「キャラクター設定を0から考えているとき」です。デザインが気に入って買ってきたオモチャを開封して、しげしげと眺める。そこでいろいろと想像を巡らせます。
「狼モチーフだな。かなり上半身肥大の体型をしている。パワータイプなのだろう」
「着ている鎧を見る限り、あまり文明レベルは高くなさそう」
「しかし衣服や装備をまとうぐらいだから、人語を解するていどの知能はあるはず」
「目が赤い。どちらかというと悪役っぽいな」
「そうだ。いっしょに買ってきたトカゲのフィギュアと悪役コンビにしよう」
「イメージはホーム・アローンの泥棒コンビ。じゃあこっちは知性派で、トカゲを間抜けにするか」
「前回、金色のゴリラを悪役として登場させたっけ。この二人組をこいつの子分にするか。なんとなく体型も近いから、しっくりきそうだ」
……というような具合で、キャラクター設定を詰めていくのです。
おおよそこれぐらいの設定が決まると、だいたいぼくは遊びに合流させてしまいます。名前も決めていないことが多いです。戦いの中で「あ、名前つけてなかったわ」と気がついて、ここではじめて原作の設定を見直して名前だけを借用したり、見た目から適当に付けたりします。
ちなみにこの狼は「ファング」と名付けました。まさに適当ですね。
こういった遊び方を主としているため、なるべく原作知識は持たないほうがいい。というわけで、ぼくは北米アマゾン(Amazon.com)などを覗いて、なるべく知らないキャラを日夜漁っているのですね。
もちろん、これは原則であって、絶対的ルールではありません。好きなキャラがいて、どうしてもじぶんのブンドド世界で活躍させてみたいと思うのであれば、無理矢理にでも登場させてやりましょう。
設定のつじつまは、じぶんが納得さえしていれば必ずしも合っている必要はありませんしね。ブンドドは自由なのです。
情報量の多いオモチャを選ぶ
第二の原則は、「なるべく情報量の多いオモチャを選ぶ」ということです。
オモチャに盛り込まれた情報は、想像のきっかけとなります。ただ、デザインがゴチャゴチャしていればいいというものではありません。どちらかというと、「じぶんが好きな設定に誘導できそうなフックが多いか否か」を見極めるというほうが適切でしょう。
ためしに、以下の2つのオモチャを見比べてみましょう。
どちらが「情報量が多い」でしょうか?
一見、左の兵士のほうが情報量は豊富です。手榴弾や防弾チョッキ、背嚢やゴーグル、通信機らしいものまで身につけています。しかし、このオモチャを見たときに引き出される情報はどれぐらいあるでしょう。
「重装備の兵士」
このような一言に、まとめられてしまうのではないでしょうか。想像力も、その枠を超えることはなかなか難しい。決して遊びに組み込めないわけではありませんが、重要な役を担わせるにはちょっと役者が足りない印象です。
いっぽう、右側のオモチャを見てみましょう。
「4本腕のクリーチャーだ! 体表の質感や顔立ちでいうと爬虫類系かな」
「汚い服から中年太りの腹が突き出てる。やけに生活感があるな」
「染みだらけのエプロンだ。場末の料理店経営かな。となるとナイフは包丁を兼ねてるのかな。怒るとこのナイフを振りかざしてきそうだ」
「でも悪人ではないはず。悪人はきれいな服を着て人をこき使ってるもんだろう。この人は汚れた服から見て自ら働く人だし、店をやっているのだから人ともうまくやるだろう」
「地元に愛される名物店主ってとこかな。粗暴な態度とは裏腹に面倒がいい。主人公たちの行きつけの店ってことにしようかな。いろんな種族が混在する村の、ダイナーみたいな店だ」
……などと、次々と設定が引き出されてきます。外見から、生活スタイルから性格、ふだんの行動や口調までもが見えてくる。こういう特徴を指して「情報量が多い」とぼくは言います。上記のようなところまで設定が決まっていると、ブンドドにおいて活躍させるのも難しくありません。出てきたとたんに、このキャラクターは自分自身の声でしゃべりはじめてくれることでしょう。
「おいてめえらまた来たのか! ツケを払いにきたんだろうな?」
「兄さんがた、悪りいが出てってくんな。……ここは汚ねえ店だが、メシを食うための場所だ。トラブルを持ち込む場所じゃねえんだよ」
「俺の店で暴れようたあ、いい度胸だぜ。この俺が相手になってやる」
こういうオモチャを、ぼくは選んで買うようにしています。
ただし、どういうフックから想像力が引き出しやすいかは、ひとによって千差万別です。ぼくにとって想像力が刺激される「いいオモチャ」が、あなたにとって必ずしもそうとは限りません。
じぶんの目で、見極めるべきでしょう。
「自分が想像力を広げやすいか?」「自分のブンドド世界に馴染むか?」という視点で、購入を検討しているオモチャを見つめ直してみましょう。苦労なく想像力が動き始めるならば、買うべきでしょう。
ちなみに
原作を知らないオモチャを買う、というのはなかなか難しいものです。
オリジナル玩具シリーズが人気を集めにくい時代となりました。メディアによって色つけがされていないオモチャを探すのは、もはや不可能と言っていい。ですが、単純に「自分が知らなければそれでいい」と考えれば、さほど難しくはありません。
Amazonの検索ボックスに「アクションフィギュア」とだけ打ち込んでみましょう。世のなかには、意外とあなたの知らないコンテンツが溢れています。見たこともないオモチャを見つけたら、チャンスです。
あなたの想像力で、塗り替えてしまいましょう。
ブンドド動画を撮ってみよう
- 動画は決して公開するな
- オススメの撮影環境
- メリット1 ストーリーが前に進む
- メリット2 設定を覚えておける
- メリット3 ノートほど面倒くさくない
- コツ1 編集に凝るのは控えよう
- コツ2 BGMを付けよう
- コツ3 台詞は字幕に置き換えよう
- 動画は決して公開するな
動画は決して公開するな
ブンドドは、その記録と不可分です。
せっかく壮大な物語がくりひろげられても、なんらかの形でそれを残す作業を行わなければ、それらはあっという間に失われていきます。毎日少しずつストーリーを進捗させられているなら、忘却の手に捕まらずに済むかもしれませんが、忙しい社会人にとっては週に一度、数時間ていどオモチャを触る時間を取れればマシなほうです。それに、スペースも限られているから遊びかけのオモチャを出しっぱなしにしておくことも難しい。となると、一週間後には「ええと……どこからだったっけ」ということになりかねません。
こういった事態を防ぐため、ブンドド民は、それぞれにじぶんのブンドドを記録する手法を持っています。
大きく分けて、記録方法は以下の通り。
- ノートに設定メモやストーリーを書き残す
- ブンドド写真を撮る
- ブンドド動画を撮る
一般的に、下にいくほど難易度は上がっていきます。しかし、スマホやパソコンが流通した現代においては、動画を撮るという手法も、さほどハードルの高い選択肢ではなくなりつつあるのです。
ブンドドは一般的に、台詞とアクションから成り立っています。音声とビジュアルから成る映画の構成要素と、同じなのです。であるなら、動画で記録を残すことで、ブンドドは最中の空気感をも閉じ込めた形で、記録に留めておけると言えるでしょう。
うまく手を加えてやることができれば、単なる記録を超えて、まるで映画のような見応えある動画に仕上げることが可能となるかもしれません。
しかし、です。
ここでひとつ、口を酸っぱくして強調しておかねばならない注意事項があります。
動画は、決して他人に見られてはなりません。
ブンドドというのは、個人的なものです。
まだまだ趣味として理解されているとは言いがたく、他人の目を楽しませるようなものであるとは、とうてい言えません。ありていに言って、オモチャ遊びなのです。それは当事者であるじぶんを愉しませることだけを目的とした、自己満足と自己完結の代物です。
凝った編集によって、あなたはそのブンドド動画に自信を持っていることでしょう。しかし、それは映画っぽさを持っていたとしても、「映画そのもの」ではありません。見せられた他人からしたら、憫笑や共感性羞恥を煽る劇物でこそあれ、賞賛の対象にはなりえないのです。あなたがうっすらと思い描いているような肯定的な反応は、ひとつも返ってこないと思ってください。反応が返ってくるとしたら、否定的な内容が99%を占めます。
「大人のくせに、恥ずかしくないの?」
「いい年してオモチャ遊びとかwww」
「痛い痛い痛い勘弁してくれ」
こういった反応を受けて、あなたはなおブンドドを続けることができるでしょうか。
そもそも、趣味は他人の評価を求めた時点で、濁ります。承認欲求という魔物に取り憑かれてしまった瞬間、これまでの純粋な愉しみにはおさらばしなければならなくなり、いつしか、「自分はなんのためにこんなことをしていたのだろう」という決定的な破局が訪れます。
熱意は、内に秘めれば秘めるほどに凝縮され、輝きを増します。自己満足と自己完結でよしとしなくてはなりません。
YouTubeに投稿したいという欲望は、ぐっとこらえましょう。
もし動画サイトにアップロードしたいのであれば、必ず、じぶんしか見られないように非公開設定としてください。
オススメの撮影環境
さて。
決して動画を公開しないという誓いを結んだあなたは、いつも通りにオモチャを並べます。この後、いったいどうしたらいいでしょうか?
一眼レフや動画編集ソフトについて調べはじめたのなら、ちょっとその手を止めてください。よくよく思い出してみましょう。あなたがこれから作ろうとしている動画は、あなたにしか見られないものなのです。リッチな映像も、凝った編集技術も、まったく必要ありません。
お金と時間を割くのは、やめましょう。
高級カメラなんて、必要ありません。
あなたが手にするのはスマホでじゅうぶん。標準のカメラアプリを起動して、「ビデオ」を選択し、撮影を開始する。撮り終わったら、編集も無料のスマホアプリでやりましょう。なに、右下やら右上に製品ロゴが入ったままでも、かまうものですか。
とにかく、めんどくさくならないようにする、というのを第一優先事項にしましょう。
編集アプリはぼくの場合、これを使ってます。
まあこの辺は好き好きなので、適当に使い勝手がいいやつを探してみてもいいんじゃないでしょうか。
パソコンでの編集に切り替えたほうが作業しやすいのかもしれないですが、ぼくにとっては「動画素材をパソコンに移動させる」という作業さえもがハードルなので、スマホで完結させてしまいます。
後述するような最低限の編集をする分には、とくに不便は感じません。ひまな時間に寝転んで編集できるほうが、ぼくにとってはメリットです。
それに、スマホだけで完結していれば、動画を見返すのも気楽ですからね。
ただ、ひとつ便利だった機材をご紹介しておきます。
まあこれじゃなくてもいいんですが、スマホアームってやつですね。
ハンドリング・ブンドドは通常、両手をフルに活用しなければなりませんが、撮影のためにスマホを構えていると、片手が使えなくなってしまい、通常のブンドドに差し障るんですよね。
動画撮影はブンドドに従属するものでなければなりません。
こういったアームを使うことで、通常時と同じようにあなたはブンドドを愉しみ、かつ動画にも残すことが可能となります。
ただし、これは「あえて挙げるなら」という機材に過ぎませんので、買わないで済むなら買わないで済ませましょう。撮影環境を整える……という新たな沼に足を突っ込んでしまうと、今度はブンドド自体がおろそかになる可能性がありますので。
メリット1 ストーリーが前に進む
さて、ここからはブンドド動画を作ることによるメリットをご紹介していきたいと思います。
まず意外にも重要なのは、動画を撮りながら遊ぶことで「ストーリーが前に進みやすくなる」という点です。
ひとりでブンドドをしていると、物語の進行が停滞するという現象がわりと頻発します。
例えば基地玩具にフィギュアを配置し、「敵襲に慌てふためく隊員たち」というような状況を作り出したとします。いい感じに並べることができた後、いざ敵オモチャを襲いかからせようとするのですが……これが、ためらわれるのです。
せっかく並べたフィギュアたちが乱雑に倒れるのが、なんだかもったいない気がする。よくよく見れば、一個の情景ジオラマとしてよくできているじゃないか。せっかくだからこれを写真に収めてTwitterにアップして……という具合に、ほんらいの「遊び」を見失ってしまうのです。
しかし思い出してみましょう。
子供は積み木を重ねて作った家を、容赦なく怪獣ソフビでなぎ倒しているでしょう? あなたに必要なのは、あの思い切りなのです。
ブンドドはストーリーです。
ストーリーとは時間の経過であり、変化です。
ひとつの静止した状況を愉しむのも悪くはありませんが、そこに破壊をもたらし、次々と変化していく状況を生み出していくダイナミズムこそ、あなたがブンドドに見いだした愉しみだったはずです。変化をもたらすことを、恐れてはなりません。思い切るのです。
動画を撮ってやることで、こうした思い切りを得ることができます。カメラという観客が、変化を期待してあなたのブンドド世界を見つめているのです。その期待に、応えなければならない。「いま動画を撮っている」という意識が、あなたの静止欲求を「動かさなければ」という義務感で上塗りしていきます。
あなたは緻密に並べたフィギュアたちを、敵の怪獣でなぎ倒す。恐怖の声をあげる隊員たち。そこに、整備が完了した決戦兵器であるロボットが現われ、怪獣と取っ組み合いを始める……。
こうして、静止した画面に変化がもたらされ、写真は動画へと変わっていくのです。
カメラを回しているだけで、こうした前進がもたらされます。
メリット2 設定を覚えておける
ブンドドにおいては、とっさに口走った台詞やとっさに取らせた行動によって、設定が次々に塗り替えられていきます。即興劇にも似たリアルタイム性こそ、ブンドドの魅力です。
たとえば、あるキャラクターが、敵の攻撃に晒されています。死に至る可能性もある一撃を、もはや避けることはできません。その瞬間、傍らに立っていた敵幹部のひとりが、その攻撃を弾きます。
「なぜだ……! なぜ俺を庇うような真似を……!」
「当たり前だ。どこの世界に、みすみす弟を死なせる兄がいる?」
「まさか! おまえが、俺の兄だったのか!?」
まさか!と叫んでいるのは、キャラクターだけではありません。
そのブンドドを遊んでいるあなたも同様です。こんな設定を決めた覚えはなかったのに、まったく知らなかった真実が明かされるのです。
こういった驚きの展開が、ブンドドを繰り広げている中では次々に生まれていきます。小説家や漫画家が、「キャラが勝手に動き出した」とよく言いますが、これとよく似た奇跡が、ブンドドにおいても起きるのですね。よく練り込まれたキャラクターは、自ら行動や設定を導き出してくれるものです。
ただし、こうした設定は次々と忘れ去られていきます。こういうリアルタイムで生まれてきた設定は、せっかくですからキープしておいて、今後の遊びの中でも活用していきたいですね。
そこで、動画を残しておくことが役立ちます。
設定が明らかになった瞬間だけを残すのではなく、オモチャ同士のなにげない会話なども残しておくようにしましょう。
これらは、「コイツとコイツは絡んだことがあったはずだったけど、どんな関係だったんだっけ……?」という忘却を防ぐ手段です。また、以前の会話を踏まえた上で会話をさせてやれば、彼らの実在感はより強まります。
それ以外にも、かつてなにげない会話のなかで交わした言葉を、最終決戦などのクライマックス的状況においてリフレインさせてやると、熱い展開を演出しやすくなります。
(例)
「バドワイザー? あんなもんビールじゃねえ、薄めた泥水だろうが」
「さすがイギリス野郎。味ってもんが分かってねえ」
↓
「生きて帰って、てめえにしこたまおごらせてやるからな!」
「ああ構わねえさ! バドワイザーでよけりゃあな!」
メリット3 ノートほど面倒くさくない
ブンドドの歴史上において、多くの時代を通じて愛されてきたのが、ノートに設定やストーリーをメモするという手法です。お金も準備の手間もかからないことから、このスタイルを長年続けているというブンドド民も多いことでしょう。
しかし、実のところ、ノートに書くという作業はめんどうくさいのです。
ブンドドを終えてから、ストーリーの進行で覚えておきたい部分や新しく定まった設定や台詞などをメモしようとすると、その分、遊び自体の時間が圧迫されることになります。また、ノートにメモをとるという形でブンドドを管理すると、楽しむための遊びの時間が、どこか仕事じみてくることも避けられません。まるで業務日誌をつけているかのような気分になってしまいます。そうなると、ノートは長続きしません。
ブンドドをしながらリアルタイムでメモをとっていこうとするのも、また現実的とは言えないでしょう。その分机のスペースを取らなくてはいけなくなりますし、都度都度遊びの手を止めてメモをとっていれば、テンポが悪くなることこの上ない。
逆のパターンもありえます。
熱中しはじめると、オモチャそっちのけでノートに設定やストーリー案の羅列をすることに時間を費やしはじめてしまいます。たしかにこれはこれで楽しいものですが、もはやブンドドとは呼べない領域に足を踏み込み始めています。
あなたが夢中でノートに設定を書き殴っている間、放っておかれるオモチャたちには、だんだんと埃が積もりはじめていることを、お忘れなきよう。
動画であれば、本質は常に「遊んでいるオモチャそのもの」にあるのだという事実を見失わずに済むでしょう。
さて、ここまではブンドド動画を撮ることのメリットについて考えてみました。
ここからは、ブンドド動画を撮る上でのコツについて、語っていきたいと思います。
コツ1 編集に凝るのは控えよう
ブンドド動画は、それ自体が作品ではありません。あなたの作品は、あなたの脳内で繰り広げられている妄想の嵐そのものです。そのため、ブンドド動画を作る上では、めんどうくさいことを徹底的に避ける、というのがひとつ重要な指標になります。
動画編集というのも、ひとつの深い沼です。
編集ソフトの機能は豊富に設けられており、あなたはそれを知るほどに、「こんなこともできるんだ」「こんな演出もやってみよう」などと、ソフトいじりに時間と労力を傾けはじめてしまうでしょう。
もちろん、それが苦にならない性格なのであれば、いくらでも凝っていただいていいかと思います。しかし、「基本的には自分しか観ない」「いくらいじっても本職の動画コンテンツには匹敵しえない」という事実を思い出しましょう。
また、労力をかけるのが当たり前になってしまうと、一つ一つのブンドド動画を完成させるまでに、異様に時間が掛かるようになってしまいます。プラモデルの1キットに、数ヶ月もの時間を掛けずにいられないモデラーと、同じ落とし穴に踏み入ってしまいます。消化できない積みプラに悩み、積み上がった作りかけのキットから目を背けるように暮らすという辛さは、玩具マニアなら想像がつくのではないでしょうか。
それと同じように、作りかけの動画素材が積み上がったまま、身動きが取れなくなってしまうのは、本末転倒というものです。
動画は、基本的に手をかけず、てきとうに仕上げましょう。
テンポを悪くしている「何もしていない時間」の映像をカットして繋ぐだけでも、じゅうぶんなものに仕上がります。もしそれ以上の労力を掛けたくなったとしたら、後述するコツ2とコツ3を実施するていどに留めましょう。
また、基本的にブンドド動画は5分前後に収めましょう。
経験上、それ以上になると単純カットだけであっても労力が馬鹿になりませんし、後で見返す頻度も激減します。1シーンで1動画、という感覚で撮ってください。シーンが変わったら一度カメラを止めて、別の動画として撮り始めるつもりで。
あなたは、時間があればなるべくオモチャをいじっていたいはずです。その初心を忘れてはなりません。
コツ2 BGMを付けよう
最小限の労力で、後から見返したときに楽しい動画を作るなら、まずBGMを付けてみましょう。戦闘シーンなら激しい戦闘曲を、しっとりとしたシーンなら悲しげなピアノソロを、愉快なシーンならアップテンポなポップ曲を、劇伴として付けてあげることで、ブンドド動画はより雰囲気を増します。
「今回のシーンにはどういう音楽が合うかな?」と選ぶぐらいであれば、労力というよりも楽しみの方が勝りますので、オススメです。
5分程度の動画であれば、基本的に1~2曲。1シーン1動画の原則を守っているなら、ほとんどの場合は1曲で事足りるはずです。
ちなみに個人視聴だけを目的とするのであれば、ゲームや映画のサントラから曲を引っぱってくるのもアリでしょうが、YouTubeオーディオライブラリにも、著作権をクリアした良曲がたくさん見いだせます。これを試聴しまくって数十曲好みの曲をあらかじめ選んでおくと、あとで楽になります。
コツ3 台詞は字幕に置き換えよう
最初に言っておきますと、このコツについてはかなり労力を必要としますので、やるかやらないかの判断はお任せいたします。
ブンドドの中では台詞を言いますね。
ぼくはどちらかというと、「台詞は頭の中で、効果音は口で再現」というスタイルなのですが、人によっては台詞を口に出すほうが好みという方もいらっしゃるでしょう。しかし、これが鬼門なのです。
ご自分の声を、録音して聴いたことはありますか?
耐えられないほど気色悪いですよね?
これはけっこう万人に発生する現象らしいのですが、自分の声というのは頭の中で反響している音と口から出ている音を混交して聴いているために、他人に聞こえている声とはまったく違うものになっているそうです。で、録音した声は他人が聞いている声に近くなるわけですが、これが自分の思っている「自分の声」とズレるために、異様な気色悪さを感じてしまうそうなのです。
理屈では分かっていても、録音した自分の声というのは長時間聞くに耐えないのも事実。
ここが最大のネックとなって、ブンドド動画を挫折する人も少なくないほどです。
そこで、このコツ3。
自分が喋った台詞の音声を消して、映画のように字幕を入れてしまいましょう。
こうすることで、気色悪さはなくなりますし、うまく言えなかった台詞を後で修正することもできるようになります。異性キャラの台詞などは後から聞くのにはキツいものになっていることが多いので、このコツは特に役立ちます。
またせっかくなので、上下に黒帯を入れて疑似シネスコサイズにしてやれば、字幕と相まって、まるで洋画のような雰囲気の動画に仕上げることも可能です。
自己満足度が高くなる遊びなので、一度試してみてもいいかもしれません。
動画は決して公開するな
さて、ここまでブンドド動画について長々と語ってきましたが、再度強調しておきます。
ブンドド動画は、決して他人に見せてはいけません。
これだけを肝に銘じることができたなら、あなたも今日からブンドド動画を作りはじめることができます。
スマホに蓄積した動画のサムネイル群を眺めるのは、ちょっとした至福ですよ。