ブンドドを前提としたオモチャの話

ブンドドを前提としたオモチャ談義やオモチャレビューです。アメトイが好き。

基地玩具を探せ!

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基地玩具は奪い合いである

先に言っておきたいのですが、我らすべてのブンドド民にとって基地玩具というのは、常に追い求めているものであり、大概の場合において供給量が不足しているために、その購入は争奪戦の様相を呈していることがほとんどです。

「これはいいぞ」「使えるぞ」という情報がひとたびTwitterなどに出回ると、あっという間にネット上の在庫は枯渇し、数少ない勝者と数多くの難民たちという格差が生まれるのです。まさに基地玩具格差社会

そのため、このブログにおいても特定商品を名指しする形での基地玩具情報を共有することはできません。ぼく自身、欲しいと思っている基地玩具のほとんどがいまだ手にできておらず、それらの金額が少しでも高騰してしまう可能性があるのであれば、情報は隠しておくしかないのです。

残念ですが、これが野生の掟なのです。

 

そこで、この場においてはブンドドにおいて有益となる基地玩具の条件について触れるのみに留めます。

具体例を出せないのは非常にやりにくいのですが、ひとえにぼくの自己保身のためですので、どうかご容赦ください。

 

そもそも基地玩具とは

基地玩具。

この単語自体に、ぼくたちブンドド民はある特別な感傷と郷愁を寄せています。そのことばを呟くとき、ぼくたちの脳裏によみがえるのは、欲しくても欲しくても買えなかったあの日の悔しさや、持っている友達への羨望、自分の経済事情をただ恨むしかないという無力感……そしてそれらに伴って、独特の甘い懐かしさがじわじわと滲み出してくるのも感じられます。あの頃のめまいがするほど強烈な物欲を、もう二度と抱くことはないだろうという感覚。それが、懐かしさの正体です。

 

さて、本題に戻りましょう。

基地玩具とは、いったいなんなのか。

それは読んで字のごとく、「基地のオモチャ」です。

あるオモチャのシリーズがあったとしましょう。第一弾として4~8体ぐらいのフィギュアが出て、それらが好評を受けて、次々とラインナップを増やしていきます。フィギュアだけではなく、それにまつわるセットものも次々拡充されていきます。まずはビークルトイ。乗り物系のオモチャはフィギュアよりも原価が安く、定価を高めに設定できるので、メーカーとしては押さえておきたい商品です。フィギュアが売れ、連動するようにビークルが売れ……こうして、乗りに乗ってきたシリーズが最後の仕上げとばかりにリリースする商品こそが、基地玩具なのです。

 

正義の味方が集う、秘密基地。あるいは悪人どもが集まる秘密のアジト。それらをそのままオモチャとしてリリースするものが、いわゆる基地玩具です。フィギュアやビークルはいずれも「モノ」ですが、基地玩具は「」です。

フィギュアたちに活躍の場を提供することが、基地玩具の存在意義。

そのために、とうぜんですが、基地玩具はフィギュアたちを配置できるように大きな空間を持たなければなりません。必然的にサイズは大きくなります。フィギュアたちが数センチていどのコンパクトさ(いわゆる1/60サイズなど)に留まるのであれば、その大きさといっても机を埋め尽くすていどのものに過ぎないのですが、当初フィギュアシリーズとして想定されていたものにあとから基地玩具が付け足された場合、その大きさは想像をはるかに超えます。

もっとも有名なところでは、Masters of the Universeシリーズにおける、スネークマウンテンなどが挙げられるでしょう。

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動画の冒頭、Pixel Dan氏がスネークマウンテンの傍らに立っています。成人男性と比べたときの、このオモチャの巨大さは想像を絶します。

こちらのスネークマウンテンについては、当時品(5インチフィギュアに合わせたもの)ではなく、リメイク品(6インチフィギュアに合わせたもの)であるため、さらに巨大化しているきらいはあるのですが……基地玩具というものは、満足度を重視するとこれぐらいの大きさにはたどり着いてしまうという事実の一例として、ご覧いただければと思います。

またじっさいに、オモチャシリーズの当時品として、常識をはるかに超えたサイズの大きさの基地玩具もつくられています。

それが、G.I.JoeシリーズのU.S.S.Flaggです。

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全長およそ2メートル超。4インチサイズのG.I.joeたちが搭乗する戦闘機を、そのまま乗せて運べる空母として開発されたこの基地玩具は、まさにオモチャのモンスターと呼ぶにふさわしい存在感です。いかにアメリカの住宅とはいえ、これを子供向けオモチャとしてリリースするというのは、あまりに度を超えた発想と呼ぶほかありません。

 

さて、ここまで常識外れなものばかりというわけではありませんが、基地玩具というものは得てして以下の条件を兼ね備えています。

  • デカい
  • 高い
  • ややこしい

まず、「デカい」というのは分かりますね。上記に挙げた2例を見てみても、基地玩具がフィギュアの大きさや設計思想に合わせて大きくなりがちというのは、容易に見てとれます。

次の「高い」というのも、サイズの大きさから必然的に導き出せます。大きくなれば、値段も当然高くなります。小売店の在庫リスクも上がりますし、単純に使っている素材の量を考えても、価格が高くなることはやむを得ないと考えられます。最近の国内市場では、子供向けであってもおおよそ7,000~15,000円ていどの価格にのぼることがほとんどです。

そして、最後のダメ押しである「ややこしい」。これについては解説が必要ですね。基地玩具はいくら「場」を提供することが目的であるとはいえ、ただ背景を印刷したていどのものでは高額な価格に納得感を与えることはできません。必然的に、子供たちが遊べる各種ギミックが多く搭載されることになります。

代表的なものを挙げるなら、「エレベーター」「回転扉」「隠し扉」「落とし穴」「牢獄」「椅子」「武器庫」「回転銃座」などがそうでしょうか。

これらのギミックの複雑さに加えて、組み立ての難しさも加わります。

基地玩具は住宅スペースを圧迫することから、通常時にはコンパクトにしまっておき、遊ぶときにえっちらおっちら組み立てるという方式を採用しているものが多いのですね。この組み立てが、たとえばシルバニアにおける「赤い屋根の大きなおうち」やMasters of the Universeシリーズの「グレイスカル城」のように、ただ開くだけという単純な形であればうれしいのです。

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(※余談ですが、この2つは世界観がまったく違うのに、どことなく似てますよね)

 

しかしじっさいには、前述のようなギミックを豊富に盛り込む関係から、ああでもないこうでもないと組み立てる必要が出てきてしまう基地玩具が、多いのです。

パーツがばらけるものも多いため、紛失リスクも高く、こうなると子供やブンドド民にとってみたら遊びにくいことこの上ありません。

 

というわけで、

  • デカい
  • 高い
  • ややこしい

の3点を兼ね備えた基地玩具というものは、熱心にリリースされる割には、さほど売れないというのも現実なのです。

売れないから、価格を上げざるを得ないですし、在庫数も絞るしかない。

というわけで、コレクターが後年になってから入手をしようとすると、とんでもないプレミア価格に化けていることが多いのです。

 

しかし、基地玩具なのです。

いくらデカくても、高くても、ややこしくても、基地は基地。オモチャたちに活躍の場を与えたり、物語の下敷きとなる拠点を与えたり、防衛戦や攻城戦の舞台にしたいというのは、ブンドド民としては抗いがたい欲望なのです。

 

というわけで、ブンドド民の間では、「投げ売り情報」がよく交換されています。

失敗したオモチャシリーズや、番組が終わってしまった特撮玩具の、売れ残り。それらには、ときどき使い回しの利く基地玩具が含まれています。原作再現派にとっては、こうした投げ売り品にはなんの価値もないのでしょうが、オモチャを使ったオリジナルストーリーを日夜繰り広げている一定数のブンドド民にとっては、これらはまさに宝といってもいい。

こうした情報をSNSなどを駆使して共有し、瞬時に刈り尽くされた跡を見ては地団駄を踏むという暮らしを、われわれはくりかえしているのです。逆に購入を焦るがあまり、じぶんのブンドド世界や物語空間やスケール感にマッチしないものを買ってしまい、後悔の涙に暮れるというのも、よくある光景でしょう。

 

それだけに、自分の思い描く理想的な基地玩具に出会えたときの喜びは、ひとしおなのです。

 

というわけで、ブンドド民の皆さまに向けて、ぼくが感じた「遊びやすい基地玩具の条件」について、下記でご紹介をしたいと思います。

 

 

条件1:たくさんのフィギュアを配置できる

なるべく多くのフィギュアが置けること。

これが基地玩具の、基本にして最大の重要ポイントであると思われます。


フィギュアを置くためのスペースは、なるべく広くなくてはなりません。広ければ広いほどいい、といっても過言ではありません。しかしこれは現実世界における住宅の大きさと同様で、予算と広さとのバランスを鑑みる必要があります。
しかし、いくら安いからといって、フィギュアが3体ていどまでしか置けないような基地玩具を買ってしまうと、不満が残ってしまいます。

 

基地玩具は「場」のオモチャであると先ほど書きました。

「場」である以上、そこに何人もの人間がいて、それぞれ勝手な振る舞いをするていどの余裕は必要となります。基地玩具はその特性上、「並べる遊び」と相性がいいのです。並べる遊びにおいては、それぞれのオモチャたちが、さまざまなバリエーションを持った行動をめいめいにとっていることで、妄想が飛躍するきっかけを与えることができます。

しかし、2~3体までのフィギュアしか配置できない基地玩具とあっては、こうしたバリエーションを多く持たせることができません。これでは並べる遊びを愉しむには、役者不足と言えるでしょう。

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こういった小さな基地玩具についてはあくまでハンドリング・ブンドドの舞台として割りきって用いるのが、正解です。

 

条件2:さまざまな行動を導き出せる

基地玩具は「場」ですが、その「場」がだだっ広いがらんどうの空間であっては、おもしろくないことこの上ありません。

なにもない体育館に集められて、さあ好きに遊べと言われたことを想像してみてください。どうしていいか途方に暮れてしまうでしょう。それよりも、多くの遊具やアスレチックが備え付けられた空間であれば、多少せまくても、楽しく遊ぶことができます。

基地玩具も、これと同様です。

メーカーが基地の中に豊富に設けているギミックは、伊達ではありません。あるものは椅子に座らせ、あるものは牢獄に叩き込み、あるものは銃座から狙撃をし、あるものは操作パネルをしきりに触り、あるものは戦闘用ロボットの整備に余念がない……。行動バリエーションを多く持たせるのに、基地内ギミックのひとつひとつが、役立ちます。行動バリエーションが多ければ、妄想の幅は広がる――。何度もくりかえしている通りですね。

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もちろん、こういった行動バリエーションを純然たる想像力だけで導き出すことも、可能ではあります。しかしそれほどの武闘派ブンドド民であれば、基地玩具という存在がそもそも要らないという結論にたどり着いてしまうでしょう。真の武闘派は、遅かれ早かれ、段ボールでの自作や机上での見立てに行き着くのです。基地玩具というのは、まだそこにまで至っていないブンドド民たちが、想像力を羽ばたかせるきっかけとして使うためのものなのです。ぼく自身も例外ではありません。

 

条件3:情報量が豊富である

購入を検討している基地玩具があったら、まずはいますぐに発注したいという欲望をぐっと抑えて、その基地内の壁面をよくよく見つめてみましょう。壁面、とくにステッカーが貼付されている箇所には、情報量が集積しています。

基地玩具は、妄想内の細かいディテールを補強するのに役立ちます。壁面にコンソールやモニター表示が細かく描かれているだけで、そこを見つめたり、何らかの操作を行ったりするフィギュアの配置が可能となります。

しかしそこが単なる岩肌やコンクリートなどのテクスチャ丸出しのままであれば、その基地玩具は思ったよりも遊べないかもしれません。

 

また、同じ単なる壁面であったとしても、細かなモールドや異なった素材づかいが行われていれば、情報量は増えます。こういった精緻な作り込みは、スケール感を出すのに役立ち、フィギュアたちを配置したときの実在感がぐっと増します。

ステッカーが少ないからと機械的に見送れというのではなく、こういった部分の情報量も見極めるようにしましょう。

 

高さがあり、スキップフロアとなっている

基地玩具においては、広さよりも高さが重要です。

基地玩具の床面積が広いほど、住宅の床面積は圧迫されます。とうぜんのことですね。しかしこれを回避できるのが、高さで稼ぐという手法です。平屋よりも、2階建てや3階建ての家の方が、単純に床面積を広く取れますからね。

それに、横に広いのはかなり迷惑を被りますが、縦に高い分には、遊ぶ分にはさほど問題ありません。コツは、机ではなく床に直置きしてしまうこと。そうすれば立ち上がって上層階を遊ぶのも、苦にはなりません。

 

また、これは従来あまり指摘されてこなかった部分なのではないかとひそかに自負しているのですが、基地玩具においては「スキップフロアが豊富に盛り込まれている」というのは大きなメリットとなります。

スキップフロアというのは、建築用語で、下記のようなつくりを表わす言葉です。

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要するに、同じ空間のなかにあえて段差を設けて、中2階や中3階を作るという建築手法ですね。住宅づくりにおいては、奥行き感を強調したり、収納を増やしたり、単調さのなかにメリハリをもたらしたりといったメリットがあるようです。

 

実はこれ、基地玩具にも有効なのです。

 

じっさいのところ、基地玩具が決してたどり着くことができないのが、「基地の完全再現」という部分です。考えてみれば当然なのです。住宅ではなく基地なのですから、いかに数分の1、数十分の1のスケール感で再現したとしても、数多くの人が出入りする空間をオモチャで完全再現することはできませんし、必要がありません。
(極端なことをいえば、施設に必ずあるはずのトイレまで再現しても遊びに活用できるか、という話なのですね)

というわけで、すべての基地玩具は実のところ、「基地のデフォルメ」なのです。

 

では、基地らしい印象をいかに崩さずに、最小限で基地らしさを表現するか。

それを考えてみたとき、高さ違いの手狭なフロアが幾段にも分かれているというスキップフロアの構造は、きわめて合理的な解決方法なのです。

 

 

スキップフロアに分かれた基地玩具を見たとき、ぼくたちはそれを目に映る通りの「スキップフロア」というよりも、単なる「フロア」として認識します。すると、幾段にも分かれた空間は、それぞれが広大な階層を為していくのです。

また、スキップフロア構造は、天井から1階床までを貫く大きな吹き抜けをもたらします。この吹き抜けも、まるで日頃見ないような大空間であるかのような錯覚を、ぼくたちに与えてくれます(ロマンのない比喩を承知で言うなら、丸の内の高層オフィスビルのような印象ですね)。

こうして、スキップフロアを採用した基地玩具は、目に見える以上のスケール感を印象としてぼくたちに与えてくれるのです。

 

 

さて

さて、いかがだったでしょうか?

なんとなく、ご自分が求める基地玩具の理想型というものが、見えてきたでしょうか?

上記のような基準を元に、自分のブンドド世界に合った世界観・スケール感の基地玩具を探してみれば、大きな失敗は避けられるのではないかと思います。

そして、もしも条件に当てはまる基地玩具を発見した際には、ぜひぼくにも教えてくださいね。

 

ぼくが見つけた場合ですか?

教えるわけないじゃないですか