ブンドドを前提としたオモチャの話

ブンドドを前提としたオモチャ談義やオモチャレビューです。アメトイが好き。

ザコは何体買うのがちょうどいいか?という話

f:id:oyayubi-tateru:20210930140135j:plain

 


ザコは必要である

ブンドドというからには戦わなくてはならない。

もちろん平和的ブンドドも悪くはないのですが、どちらかというとお人形遊び的方向に寄っていってしまいますし、戦いは対立構造によってドラマを生み出しやすいので、妄想の幅を広げていくにはもってこいなのですよね。

 

というわけで、戦うことがブンドドの基本となると。

どうしても必要になってくるのが、ザコというものです。

 

ザコ

機動戦士ガンダム」でいうところの、ザク

仮面ライダー」でいうところの、戦闘員

スターウォーズ」でいうところの、ストームトルーパー

なぜだか我々は太古の昔から、十把一絡げのやられ役である彼らに心を惹かれてしまいます。おなじ顔をした、個性というものを徹底的に消された、組織の歯車たち。もしかしたらぼくたちは彼らに、日頃名もなき歯車として虐げられているじぶんたちを重ね合わせているのかもしれません。

 

ヒーローであるところの主人公は、ただひとり、巨大な敵に立ち向かう必要があります。図体が巨大ということもあれば、組織が巨大ということもありえます。敵のあり方として後者を選択したならば、その勢力はしっかりと整えてやらねばなりません。問題は、物量です。

 

ごくごく一般的な作劇手法として、主人公勢力は敵勢力よりも弱小であるというのが必要になります。もちろん、主人公に仲間がいてもいいのですが、これが敵よりも圧倒的に数が多いとなってしまうと、せっかくの燃える戦闘が単なる弱い者いじめの様相を呈してきます。

もちろん、敵が見るからに巨大なクリーチャーなどであれば成立するのですが、ことブンドドにおいては、あまりに巨大なオモチャを用いるのは現実的ではありませんよね。となると、敵勢力のほうが数量が多いという構図をつくるのが、いちばんてっとりばやい。

 

ここで重要になってくるのが、そう、ザコです。

f:id:oyayubi-tateru:20210930134515j:plain

ザコは、兵隊としてたくさん群がっている必要があります。それらをまとめて吹き飛ばすという快感こそ、ザコ戦の醍醐味でしょう。

だいたいふつうの戦隊ものであれば、平均して10~15人前後のザコを率いていることが多いですよね。戦隊の場合は味方も5人以上いますから、あれぐらいの勢力でないと戦いが成立しないという事情もありますが。

 

なんにしても、ザコがわらわらといることで、敵勢力は格段に巨大化できます。

でありながら、それぞれのザコに対して台詞や行動をいちいち考える必要はありません。キーとかグワーとか言わせて、無思慮にヒーローを襲わせておけば事足ります。あなたの妄想リソースは、ヒーローと怪人の対立構造に集中させましょう。そうすることで、見た目の迫力と物語の立体感を両立させることが可能となります。

 

ことほどさように、ザコとは便利なものなのです。

 

 

ザコは何体必要か?

さて。

こういったザコキャラというのは、一定の人気を勝ち得ることから、けっこうオモチャ化にも恵まれます。というわけで買おうと思えば買うことはできるのです。問題は買うか買わないかではありません。

いくつ買うか、です。

 

先ほどの戦隊ものに習って、10~15人揃えるべきでしょうか?

 

いえ。

やめておきましょう。

 

まず、お金が足りません。

ブンドド好きなあなたは、物語を先に進めるためにも、新たなオモチャを次々に導入しなくてはいけません。いくら使い回しの利くザコだからといって、そこに予算を傾けすぎては、新キャラ投入によるテコ入れが困難になってしまいます。無限のお金があるよ、という富豪であれば話は別ですが。

 

また、場所も足りなくなります。

机の上か、床の上か。いずれにしても、日本の住宅事情のなかで遊んでいる以上、オモチャを広げることのできる面積には限りがあります。そこに10人以上のザコを並べてしまっては、邪魔以外のなにものでもありません。

 

加えて、も足りない。

あなたの手は2本が上限です。ザコを10人も買ってきたところで、一度に動かせるのは1人です。精密な動きをさせずに、ただ体当たりするだけであれば3人ぐらいを襲いかからせることも可能でしょうが、その戦闘はどこかやけくそじみてしまいます。

 

では、1人を買えばじゅうぶんなのでしょうか?

 

これもまた、問題は残ります。

まず、ザコ最大の魅力であるわらわら感を表現することができません。人によっては、時代劇の斬られ役がごとく、1人しかいないザコ玩具を毎回別人のように入れ替わり立ち替わり主人公に襲いかからせたりもしているようですが、複数のザコを並べたときの迫力を再現することはできなくなってしまいます。

 

このように、ザコは多すぎてもダメ、少なすぎてもダメなのです。

上に挙げたようなジレンマから、すべてのブンドド好きは適正ザコ量について悩みつづけているのが実情なのです。

 

 

「適正ザコ量=3+n」説

 

ぼく自身も、長年ブンドドを続けていくなかで、この適正ザコ量問題については頭を悩ませ続けてきました。

しかし近年、それもここ3か月ていどでようやく、自分なりに納得のいく適正ザコ量を見いだすことができたのです。

 

それが、下記の数式です。

 

適正ザコ量=3+n

 

解説しましょう。

まず、ヒーロー1体に対してのザコは3体が適正です。これは、ヒーローの周りにザコを配置したときのバリエーションの都合によるものです。3体ぐらいが用意できていれば、1体が既に倒されていて、1体がヒーローに捕まっており、1体がいままさに襲いかかる瞬間……といった具合に、それぞれ違う行動を取らせることができます。

4体になると、ちょっと多すぎてこの行動バリエーションを考えるのに苦労します。また、バランス的に4体中1体はリーダー格がいてもいいという心理が働いてしまうので、ザコ3体に怪人1体のようなバランスがちょうどいい印象です。

f:id:oyayubi-tateru:20210930134518j:plain

ただし、3体というのは、ヒーローが1体であった場合に限ります。

2VS3となると、ザコは瞬時に打ち倒されてしまいそうな印象になります。2vs4ぐらいのバランスであれば、まずまずの戦闘が繰り広げられそうです。同様に、ヒーロー3体ならザコ5体、ヒーロー4体ならザコ6体……と、ヒーローが1人増えるたびにザコを1人ずつ増やしてやれば、なんとか恰好がつきます。

というわけで、数式のなかの「」とは、「ヒーローの数-1」という値だったのですね。

 

ただ、さきほどの「手が足りない」という問題は、ヒーローであろうがザコであろうが事情は同じことになります。

人間が同時に遊べるオモチャの数はおおよそ4~5体が限度ではないかと思われますので、それ以上になる場合は、「同時進行で違う場所で戦っている」という物語設定にしてやる必要があるかもしれません。

 

 

ただし

ザコは多いに越したことはない、というのも一面で真実ではあります。

お金・場所の問題がクリアできるなら、たくさんのザコを並べて閲兵式イベントをやってやってもいいでしょうし、「絶望的物量の敵が進軍してきた……!」という設定で戦わせてやるのも、乙なものでしょう。

 

またザコは、さほど多くの設定を背負っていないことから、他作品のヒーローたちに対してもザコとして立ち向かわせやすいというメリットも持っています。思い切ってたくさん買っておけば、それはそれで遊びの幅は広がることでしょうし、無駄になることは少ないのではないかと思います。

 

ただ、「同じものをこんなに買って!」と誰かに叱られることがないよう、お互い気を付けましょうね……!